季節より一歩だけ早足のサンタがやってきた。
まだ街のイルミネーションも助走の最中というのに。差し出された大きな箱に、胸の奥がそわりと揺れた。
「12/1ですから」
と添えられたそれは、アドベントカレンダーという名の魔法である。
包装紙はゴールドと赤のリバーシブル。
まるで夕焼けの海のようで、
思わず指先で光の名残をたどってしまった。
キャスト達よ、喜べ。
一人一つは必ず行き渡る。
慈悲深きサンタは誇らしげに宣言した。
しかしである。
アドベントカレンダーを前にした大人ほど、
子どもじみた悩みに陥る生き物も珍しい。
今日の扉を開けるべきか、明日まで我慢すべきか。
隣のキャストは何を当てたのか。
そんな些細な葛藤が、冬の始まりをひそかに賑わせていた。
さて、明日の扉はどうしたものか。
アイラ(大感謝)